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JKA 2nd Asia-Oceania Karate Championships

更新日:2019年8月28日



2019年8月17日~18日

尚志館の皆さんこんにちは

初めてこのブログの記事を書かせてもらいます。

前回の管理人さんブログ(20190818_第2回アジア・オセアニア大会結果速報)

にて紹介してもらった現地特派員です。


第2回アジアオセアニア空手大会で見た内容をお届けしたいと思います。

既に管理人さんより試合結果報告があったので、その内容も見てくださると嬉しいです。

今回の大会に出場したのは、

  • 神奈川県都筑支部「尚志館」:田中克尚先生

  • 神奈川県横須賀北支部「加藤塾」:瀬戸秀朗先生

  • 千葉県松戸支部:林友々菜ちゃん

以上3名となります。

 

試合会場の名前はフアマーク・インドアスタジアム

(286 การกีฬาแห่งประเทศไทย Ramkhamhaeng Rd, Hua Mak, Bang Kapi District, Bangkok 10240 タイ)


試合会場は思ってたより小さく、昇段審査や県大会で見たことのある伊勢原体育館並みの大きさです。

しかし、(ムエタイの国)タイだからなのかどうかわかりませんが、試合場と同じ階から観客席が楕円形に広がり、そして後席に行くに従ってかなり傾斜が急になるように席が配列されていました。伊勢原体育館の場合、試合場は一階で観客席は二階と別れていて、観客席は前から人が落ちないように網が張られた状態です。とてもカメラマン泣かせな会場であったことを覚えています。しかし、このアジア大会会場には前面を遮るものは何もありませんでした。なのでカメラを構えれば好きなだけ撮り放題です。

会場風景:試合場A周辺

会場風景:左から右へ、試合場A、B、C

試合場は、全部で3面ありA、B、Cと分かれていて、中央にある試合場Bの前後には今回のアジア大会のロゴとマークが張られた大きなパネルが鎮座してありました。


 

試合開始

開会式は、みんなが集まったら始まると言う感じで8月17日(土)現地時間9時頃から始まりました。開会式の言葉は、日本空手協会総本部の植木政明主席師範からのお言葉です。

すみません、大事な言葉にも関わらず、私は録画も録音も取らずひたすらカメラのシャッターをきっていました。なので画像だけで失礼します。

試合が始まると会場は、一斉に歓声に包まれます。やはり世界の方々の声援は大きい。同じ国のチームメイトやその親御さん達の大きな声援が響いてきます。特にオーストラリアの選手への声援は野球選手への応援の様で特定の選手へ向けて簡単な掛け声を詠うと言うもの。私たちも田中先生や、尚志館の子どもを応援する時に用意して、周りへ、アピールするのもアリかもしれません。


 

8月17日(土)12歳 女子 形の試合

林友々菜ちゃんは、6月下旬頃、尚志館へ来てくれた時に見せてくれた観空大をアジア大会でも披露してくれました。このアジア大会での観空大は彼女の集大成となりました。家族全員でアジア大会に来られ、親御さんが試合場近くで応援していたからか不安な顔は垣間見えず、世界を相手に堂々たる姿で出場してきました。

友々菜ちゃんと同年齢の形の試合は現地時間午前11時頃に開始。友々菜ちゃんの出番は最後の方で、それまでの間、緊張を和らげるため自分の形を再確認し、時々気になる人の形が始まると集中して見守っていました。


試合の進行は早く、友々菜ちゃんの出番です。

試合場にゆっくりと落ち着いて入場してきました。

友々菜ちゃん入場

友々菜ちゃんが一礼をして顔をゆっくりとあげると、一呼吸ついて

「観空大!!」

との大声が聞こえてきました。

200mほど離れた場所から撮影していたのですが、すっきりと通る声が会場全域に響き渡りました。しかも友々菜ちゃんが形を演武する場所は試合場Aで、私が居てた場所は真逆の試合場Cであったにも関わらず、他の声援が飛び交う中、こちらまで届くその声に圧倒されました。カメラを持つ私も身体が一瞬にして緊張状態に。


ゆっくりと両手を挙げ見上げた瞬間から素早く背腕上段受けを左右にした後、間を置いて 左縦手刀中段受へ。6挙動目から14挙動目まで素早く形がつながります。


そこから15挙動の貫手まで止まらずに気合へ。

「おーい!!」

再び大きな声が轟きました。

手刀上段外回し打の後、前蹴蹴上、反転して上段流し受けと手刀下段打込みの後のレの字立ちのゆっくりとした引き手には、感動しました。と言うのも常に田中先生が言っている「形の中で上半身と下半身の動きがバラつかない事」を体現していたのです。レの字の足が引いたと同時に引き手も腰の定位置にくる。この時点で私は感動していました。

その後も緩急のついた演武に心を奪われていきました。54挙動目の貫手の後から65挙動目の気合を入れた後の二段蹴りまで陶酔しきっていてうまく説明ができません。

そして、すくいながらの直れの姿勢で開始線に足が揃った時は、素晴らしいの一言でした。

演じる人によってここまで心を鷲掴みにする観空大を見れるのは本当に稀な事です。


彼女の形が終わった時、私は得点を確認する事が出来ませんでしたが、順位が発表されると二人目として前に出てきました。発表後、彼女が顔を拭う姿をカメラのファインダー越しに見えました。その姿をみて、私も心にグッとくる熱いものを感じました。


準優勝おめでとう、友々菜ちゃん!


試合後、少し落ち着いた頃に彼女から試合結果と形の内容を聴くと、引き手の時に道着に手が絡まって上手く引けなかった事、優勝した子との差はやはり緩急が足りなかった事と自己分析も完了済みでした。彼女の言葉を聞いて、心が又熱くなりました。

私は、「これがアジア大会に出れた理由なんだ」と確信しました。彼女は、運良くここに出てきた訳ではなく、彼女自身、今まで苦労した空手道の歩みがあったから、そして、それを支えてくれている人が居たからこそ、このアジア大会に出るべくして出たのだと!そして、彼女の持つ向上心がもっと上を目指しているのだと!


 

日は変わって個人の形と組手の試合

友々菜ちゃんの試合が終わって次の日、田中先生と瀬戸先生の試合です。日曜の早朝、起きると満月が煌々と光っているのを見て、今日は何か凄いことが起こりそうだと思いながら準備をし、試合開始1時間半くらい前に会場入りしました。

先生達二人は早速ウォームアップのため練習場へ向かい、茂樹さんと私は、試合中に尚志館団旗が見える位置とカメラの位置を確認。

その準備中、思い出に耽っていました。

今日という日をどれだけ待ち望んだ事か!

3月頃に先生からアジア大会への出場の知らせを聞いた時は、本当に驚きました。そして、田中先生と共に空手をし続けてきた茂樹さんからも、「行くんやろ?」と聞かれて2つ返事で「はい、行きます!」と答えた事がついこの前の出来事のように。

なので、当日は、

田中先生がタイ(バンコク)の試合場で形の確認をしている事が、そして、目の前で尚志館のみんなから貰ったTシャツを着てウォームアップしている姿が信じられないくらいでした。


 

8月18日(日)個人 形(年齢40歳~44歳)の試合

田中先生の形の一試合目は、相手が棄権したため、いきなりの本番でした。先生がタイに行く前からマークしていた小林選手の形(雲手)が先に行われ、結果42.1と言う高得点を獲得。この光景を先生はずっと注視していて、その表情は少し硬く厳しいものの様に見えました。

その後もう1人の形が終わり、やっと先生の出番。

田中先生は、全身からやるぞっと言う魂の響きや叫びの様なオーラを纏い試合場に出てきました。


普段、稽古場で先生の真剣な顔を何回も見ていましたが、この時は明らかに違う顔付き。

一礼をして

「岩鶴!」

と、大きな声ですが深く太く響く様な声が響き渡ります。


緊張の間を突き破る様に、 両甲上段側面合わせ受の姿勢へ、次は平安五段の両掌十字中段押え受から後屈立ちの左拳中段突、更に右後屈立ちのまま右中段逆突。



田中先生が尚志館の壮行会で披露してくださった時と同じ流れ!いや、少し緩急具合が増しているか?

良いぞ、いける。

両拳胸前においてから一呼吸を置いた後の二段蹴は、観空大の最後の挙動と同じで迫力があります。田中先生の蹴りは、やはり素晴らしい。二段目の蹴りが頭の位置と同じ位置まで上がっていました。


14挙動目(八字立で両拳両側下段掻分け)の後、ここからが、徐々に難易度が上がってくるのが岩鶴という形だと個人的には思っています。後屈立で一回転しながら右、左、右と上段内受け。形で難しいのが、この回転して足が演武線上に綺麗に揃うところです。

ズレもなしに素早く移動して18挙動目(右脚折敷左膝立てで下段交叉受)まで流れるように動く先生の姿には、釘付けになりました。


この後、岩鶴の最高難易度である25挙動目からの右脚立。

次の26挙動目は右脚立の状態をキープしながら脚を少し折り曲げてかがむ姿勢となります。


震えないで先生!!

カメラを持つ手に汗が滲み出てくるのが分かり、この一瞬、心臓の鼓動が早くなり、その鼓動音が外に漏れて反復して自分の耳に入ってくるような状態でした。

1回目の片脚立の後の右中段順突で気合!!

「オイヤー!!」


1回目の片脚立は問題なくクリア、これが後3回も続くと思うと気絶しそうな勢いでした。

2回目、3回目、ブレてない。

落ち着け、落ち着け、先生、残り1回、

最後の40挙動目右回り一回転してからの右脚立。

残り2挙動、、、

脚はもう震えていませんでした。最後の順突きと共に田中先生の「この試合勝ちに行く」という気合がでます。

「オイヤー!!」

田中先生の渾身の突き。決まったー!!

周りの歓声を吹き飛ばし、シーンと言う静かな時間が流れました。残心がとても長く感じた後、直れの姿勢に戻った時は完全に開始線に戻っていました。


それと共に自分の耳に周りの歓声が戻ってくるのが分かりました。

もう、私は何も声がでませんでした。

そして出た得点は、

42.0!!


出た!!2番目の高得点!!

手が痛くなるほど拍手して、田中先生に心の中で「決まったー!!」と言ってたように記憶しています。


その後に控えていた選手達の形が全て終わり、発表の時。


田中先生が獲得した得点は、2番目のまま。

やったーーーー準優勝!!

やはりできる男は、日本でもアジアでも結果を出すんですね。


 

8月18日(日)個人 組手(年齢40歳~44歳)の試合

田中先生の形の試合が終わり、次に瀬戸先生が出る個人組手の試合。


 

試合の内容を伝える前に感想を書くと、この後の緊迫した試合の情報を書けるのか?と疑われそうです。ですが、敢えて私は書きます。

瀬戸先生とは、今回の旅で仲良くさせてもらいました。ノリとしては、関西人特有のボケとツッコミができる様な仲にまで(私の勝手な想像ですが)なれたと自負しています。

それだけ瀬戸先生は、温厚で優しいくそして冗談の好きな人だったのです。

でも、それは空手をやっていない時であって、今回の大会を見た後思ったのは、急所を確実に狙ってくる獣のようでした。

先生は、7月下旬の尚志館の壮行会にも来られていた方なので、どのような組手をされるか他の黒帯の方もご存知だと思います。先生は、蹴りが柔軟で、蹴りだけでフェイントをいくつも繰り出し、その後、間髪入れず踏み込んで(ノーモーションで)突きに繋ぐこともできます。その多彩な技を持つ先生が組手で世界を相手に闘ってきました。


 

田中先生から瀬戸先生へのバトンタッチ。


これで気合が入ったのか、 組手モードスイッチがONとなり、ここから険しい表情に。


一回戦目は、タイ人との組手で、瀬戸先生と同じ背丈の人でした。どの様な動きをするのか見守っていると、相手と位置が入れ替わり、左拳でフェイントを掛けた次の瞬間、上段の突きが炸裂!!しかし、相手も上段が入っていたみたいで1回目の攻防では相手に取られてしまいました。2回目の攻防では、両者相打ち状態に、私の位置からはどちらが決まったのか分かりづらかったのですが、赤に旗が振られていたのと主審が技有りを瀬戸先生側として取ったので、両者1対1に。開始位置に戻り再開。3度目の攻防で再び、位置が変わろうとした瞬間上段突きが決まり。

先生の雄叫びが

「ッシャー!!」

一回戦は、あっと言う間に決まりました。映像を見返したところ、2分弱で勝負が決まっていました。

一回戦終了後。瀬戸先生の恩師である山本先生がこの後、瀬戸先生に組手の内容が「硬い」と仰っていたそうです。


二回戦目も同じくタイ人との組手となり、同じ背丈ですが痩せ体型の人でした。開始早々、下段蹴りでフェイントを掛けていきます。2回目のフェイントで相手が後方へ下がったことを確認した先生は、相手が次の行動に移る前に仕掛けていきました。刻みの後に逆突きを2回この瞬発力と速い突きが組み合わさると相手が動けなくなるんでしょうね。相手は固まったまま、攻防間に合わずその場に立ち尽くしてしまいました。

1回目の逆突きで決まった後も更に追い討ちを掛けたことで、警告が入ったため、技有りは取れませんでした。


2回目の攻防。ステップを3回ほど踏んで位置を確認したあと、逆突きが上段に入って技有り!!

ピー!!

決まった瞬間の笛の音が鳴り響きます。

すいません、先生の突きのスピードが半端ないのでカメラのオートフォーカスがおいつきませんでした。ピンボケですがその時の証拠です。

その後の決まった顔。

3回目の攻防は又先生の早い逆突きが中段に決まりました。この組手試合はとても早く、一回戦のタイムを上回り1分半で勝負が終了。


この後、試合場の外で見守っていた山本先生がほのかに笑顔になっていました。瀬戸先生の試合の運び方に満足しているように見えます。

奥の方が山本普功先生

三回戦目、決勝です。

相手は、背丈も重量も先生に似たオーストラリア人。この方の家族も応援に来られていて、優勝が掛かっているので必死に応援されていました。その様な声が先生の耳には入らないのか、落ち着いていて試合場に立ち、試合開始。ここまで上がってきた二人なのでお互いの動きや戦略が見えてくるのでしょうか?先の2試合とは変わってお互いの探り合いが始まります。相手も先生の動きが速いのを知ってかカウンターを狙っているかのように構えていました。先生が数回フェイントを入れた後、見切っての逆突き。

技有り。


2回目の攻防では、先生が踏み込んだところに相手も立ち向かってきたので、それを交わして相手の身体に組みついて攻撃を防ぐ形に。


一度開始位置に戻り試合再開。

両者、先の攻防でどのタイミングで攻撃ができるのか一旦整理をしたようで、相手側は再びカウンター狙いで、そして先生は更に戦略変更。

私は、いつ先生の突きが出ても撮れる様に必死に姿を追いかけます。

先生の脚の運びは軽く。ステップを前後に聞かせながら、相手を中央に釘付けにした状態で円を描くように時計回りに間合いを探ります。再び元の位置まで戻ってきた時、先生が素早く手と足を振り相手を翻弄。時間を気にしたのか、相手も前へ出てきて蹴りを繰り出します。先生はこれを受け流して、逆にカウンターを当てに、、、っとこれは突きが行き過ぎたみたいで、技有りを取ることができませんでした。


しかし、ここで残り30秒の笛が!!

タイマーが秒を刻み出します。先生がステップを前後に取った最後の瞬間、先生が追い込みを掛け刻み、間を開けずに逆突き!


技有り、一本!!

優勝!!!


終わったときの表情は、ほっとしている様子でした。


 

先生達が戻ってきて、再び喜びが爆発!

瀬戸先生のガッツポーズ、最高でした。


田中先生は、茂樹さんと今回の試合の内容を語っている。

うん?でも2人の目が少し潤んでいるぞ!



カメラのファインダー越しはクリアなのに、霞んで見える。私も余りの感動を抑える事が出来ず涙が止まらない状態に。

この後、無言で先生と握手した後、「良かった!」と言えました。


 

表彰式

午前中、全ての試合が終わる前、既に試合を終了した選手達の表彰式が行われました。

2人とも素晴らしい笑顔です。

私も写真撮らせてもらいたいので、試合場前の表彰場へ侵入(一応許可貰いました)。

おかげで最高の一枚撮れました。


 

終わりに

このアジア大会で私たちが応援した選手全てが入賞すると言う快挙!

終わった瞬間の喜びは、今まで味わった事のない経験でした。

私は思います。試合前日まで田中先生、瀬戸先生、茂樹さんと熱く空手に関して語り合えたこと、尚志館の皆さんと共に応援できたこと。この二つの大きな要因が、今回の喜びを特別なものにしてくれたのだと。本当に尚志館の皆さん、ありがとうございました。

今回この旅をコーディネートしてくださった茂樹さん、感謝しています。

田中先生お疲れ様、感動をありがとう!


最後になりますが、私の妻にも感謝させてください。「田中先生のアジア大会の応援に行きたいねん」と少し小声で聞いたら「バーイ!」との一言で、許して行かせてくれました。この一言がなければ僕は、田中先生、瀬戸先生、友々菜ちゃんの素晴らしい空手を皆んなに伝える事が出来なかった。ありがとう。

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