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執筆者の写真尚志館管理人

ルールにみるスポーツと武道

更新日:2018年8月24日

みなさんこんばんは。管理人です。


今週は何を書こうか悩んでいたのですが、小林先生の初投稿をはじめ、武道の心構え的な内容がありましたので、私からは違った視点から武道空手について皆さんにお伝えしようと思います。


我々が出場する試合には主に全空連(JKF・連盟)と空手協会(JKA・協会)があります。

団体の細かい説明は割愛しますが、どちらの団体も空手競技を主催して行っており、その形態としては全空連がスポーツとしての空手競技であるのに対し、協会は武道としての空手競技として開催されているという違いがあります。


スポーツと武道は何が違うのか、今回はルールの側面から見てみましょう。


まずは組手ですが、連盟は最大8ポイントによるポイント制なのに対し、協会は一本または技有り2本による一本勝負となります。(どちらも大会により若干の例外有り)

連盟には先取と呼ばれる先取り有利のルールがあり、ポイントも突きと蹴りでポイントが違うことなどから、比較的互いに積極的に攻めあう試合が行われますが、協会は一本でいきなり試合が終わってしまう事もあることから、連盟に比べると試合の流れは硬直しがちです。


また、大会にもよりますが、連盟は体重別の試合に対して、協会は全体重同じクラスで試合を行う所謂"無差別級"のみです。


これらの理由には色々な意見がありますが、連盟(ひいてはその上部団体である世界空手連盟:WKF)がオリンピックを目指す中でスポーツの祭典に相応しいルールに変遷していったというのが一般的です。

実際、かつて連盟の試合でも流派が入り乱れる中で一本勝負を採用していたことからも、流派ごとのルールを束ねた結果というよりは、オリンピック映えするルールを模索した結果が今のルールなんだろうと思います。


WKFルール
これはまだ家族揃ってTVで見れますが・・・

JKAルール
流石にこれは食事中に見るには刺激が強いですよね・・・

これについては柔道のように空手道がカタカナやアルファベットのカラテ・KARATEになってしまうことを危惧する声があることも事実ですが、オリンピックを通じて空手が注目されているのも事実ですので、一概に非難されるものではないと思っています。


だからこそ協会は武道空手団体を標榜し、自団体が主催する大会のルールを使い分けている訳で、同じ道着を着て技を出し合っていても、スポーツと武道の間には超えられない一線があるのだと思います。


そもそも武道とは相手を殺(あや)めるための技であり、命を落とすかも知れない戦いに臨む相手に対し敬意を払う事が、命の遣り取りの中に見る礼節だったのでしょう。それが時代の中で殺法としての部分が薄れていき、自己研鑽と礼節を重んじる部分を残していった結果が「道」として各武道に受け継がれているのだと思います。


これは、連盟の試合では喜びをアピールする選手を良く見かけますが、協会の試合では過剰に喜びを表現する選手が少ないという部分にも表れているのかも知れません。同じ武道の剣道では、一本を決めても、喜んだ場合には残心が無いと見做されて一本を取り消される事もあるそうです。


我々が稽古するものは武道空手ですから、ルールの違いも単純な協会でも技有りが取れる技として磨くのではなく、そのルールに秘められた想いや背景を汲み取り、自分の技が一本に相応しい技術に近づいているか確かめながら稽古に励めると良いですね。


 

ところで小林先生の記事のタイトルは「道」でしたね。

格闘技が好きな方にとって「道」と言えば・・・そう、

アントニオ猪木
元気ですかー!!

"この道を行けばどうなるものか、

危ぶむなかれ。

危ぶめば道はなし。

踏み出せばその一足が道となり、

その一足が道となる。

迷わず行けよ。行けばわかるさ。"



アントニオ猪木さんですよね。(笑)

この詩は元は哲学者である清沢哲夫氏の引用であり、元は


"此の道を行けばどうなるのかと危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし ふみ出せばその一足が道となる その一足が道である わからなくても歩いて行け 行けばわかるよ "


という文章だったそうです。

若干の改変はありますが、読んでみると日本語的にはそう違いはなさそうです。


では、この2つの詩に出てくる「道」はどんな道でしょうか。

人によって色々な解釈はあると思いますが、"自分が進むべき道"や"人生そのもの"と答える方が多いのではないでしょうか。

きっとどちらも正解だと思いますが、どちらの道も自分が信じる道という意味では武道または武士道の道とも通じるものがあるのではないか・・・とも思ったりするのです。


空手の道を志す者は、日々の稽古を通じて最終目標である人格完成を目指す中で、時に迷い、立ち止まる事もあると思います。

そんな時でも、とにかく新たな一歩を踏み出すことで新しい道が見えてくるのでしょう。

もしもそれが目指すべき道では無かった時は「開始線」に戻ってまた新しい道を歩み出せばよいのだと思います。


そう考えると小林先生の2つの記事も皆さんなりに色んな解釈ができるようになってくるのではないかと思いました。


うーん。何とかゆるーい感じの記事にしようと思って猪木さんまで持ち出してみたのに、私らしくない記事になってしまいましたね・・・。(苦笑)


何はともあれ、いつか紹介しようと思っていた競技ルールに触れる事もできましたし、幸いお後もよろしいようなので、今回はこの辺でお別れしたいと思います。



それでは皆さん、また来週お会いしましょう!


押忍

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