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執筆者の写真尚志館管理人

空手道着の選び方

皆さんこんにちは!管理人です。

今週は何を書こうか色々考えたのですが、少し道場の話題からは離れて、タイトルの通り道着の選び方について触れてみようと思います。


以前、帯の選び方について書いたことがありますが、師範がアジア大会へ向けて日本代表用の道着を新調されたり、私も先週に道着を新調したり・・・ということで、道場内でも話題のネタという事もあり、またこの時期は新たに入会される方々にとっても、道着選びは悩みのタネと思いますので、取り上げてみることにしました。


管理人の好みも入っていますが、少しでも皆さんの道着選びの参考になれば、と思います。

では、早速行ってみましょう。


 


① メーカー選び

道着のメーカーも様々ありますが、伝統派、特に日本空手協会にとって馴染みのあるところというと・・・

辺りが有名なところになります。勿論アディダスやミズノなどのスポーツメーカーからも販売されていますが、海外の方はともかく、日本人は先に挙げた老舗の専門メーカーで仕立てることが多いです。

いずれのメーカーも品質には定評がありますので、どこを選んでも後悔はしない筈です。

しかしながら、一応メーカー毎に特色はあるので、そこは好みで選ぶと良いでしょう。


例えば、東海堂は空手協会設立時期から親交の深いメーカーです。昔ほどではないにせよ、古くから協会で空手をしている方は、今でも道着と言えば東海堂という方がいます。

全般的にトラディショナルなデザインという印象ですが、最近は時代の流れを無視できないのか、生地の綿/化繊比率や縫製を工夫した様々な商品を開発・販売しています。


ヒロタは元々東海堂から分かれたメーカーとの事ですが、道着の着心地としては東海堂と遜色が無いと思います。ですが、裏地にメッシュ素材が張り付けてあったりするなど、メーカー独自の工夫が見られます。また、道着のバリエーションとしてはこれらのメーカーの中では少ない方かも知れません。一時期ナショナルチームの選手に良く見かけたメーカーです。

因みに、ヒロタのピナック組手用という製品は、メーカーでは組手用として販売していますが、軽くても生地に張りがあるので、形組手兼用でも十分使えます。


守礼堂は沖縄を拠点とする老舗のメーカーで、流派を問わず人気のあるメーカーです。この業界では所謂ブランド道着の一つですが、全空連の試合では見かけるものの、余り協会の試合では見かけないです。


東京堂インターナショナルは、元々は東京守礼堂インターナショナルと言って、守礼堂の東京での代理店です。そこから分かれた経緯を持ちますが、代理店時代から独自設計の道着などを売り出していたことから、今でも多彩なラインナップが魅力です。

全体的にスラっとしたデザインで個人的にはちょっと値段が張るかな、という印象はありますが、見た目がスマートな印象に見える為、私的にカッコイイと思うメーカーの一つです。

もっとも、デブな私には着こなせませんけどね!


尚武は山梨に拠点を置くメーカーです。動きやすい縫製をする為に裁断方法を工夫するなど、最近協会中でも指導員や全国クラスの選手間で人気が高まっている注目のメーカーです。因みに尚志館でも愛用者の多いメーカーの一つです。


以上、簡単に各メーカーの特色を挙げてみましたが、他にもズボンの縫製として前後左右4枚の布を合わせて縫うのが、ヒロタ・東京堂インターナショナル・守礼堂、左右2枚の布を合わせるのが、東海堂と尚武という違いなどもあります。

どちらが優れているという訳では無いですが、左右2枚の布の場合には足の部分を縫う際に筒状に丸めて1か所を縫うだけで良いので、足の外側に縫い目が出ない事から、ズボンの引っ掛かりや、外観の見栄えという点で好む人もいます。


同様に道着に入れる名前の刺繍の文字についてもメーカー毎のフォントも特色があり、東海堂は一画一画がカチッとした書体なのに対し、ヒロタは同じ草書体でもやや太めのラインで丸みを帯びた書体だったり、東京堂インターナショナルになるとフォントもゴシックなどからも選ぶことが可能など、メーカー毎の拘りがあります。

また裾に縫い付けられる流派ラベルについても、大体のメーカーは協会マークは白と赤で表現しますが、ヒロタの場合は銀と金で描かれたり・・・という差があります。

(師範情報では、尚武もフルオーダーの場合は、ラメ入りのラベルになるらしいです)


尚、皆さんの気になるお値段ですが、同程度のクラスの商品を比較した場合、ヒロタ・尚武の2社は他に比べてごく僅かながら価格が安い傾向があります。



東海堂のフォントは太さは普通、縦横の線は真っ直ぐ、曲げるところもシッカリ曲げる書体です。

同じく東海堂のラベル。これはノーマルですが、商品によっては専用のラベルが付きます。



② 素材(生地)選び

続いて素材選びですが、実質道衣選びこれに尽きると思います。

生地を考える際には、まずその用途を考えましょう。

メーカーサイトを見てみると、道着の説明書きに形用・組手用といった記載があると思いますが、これは用途毎に生地の素材や厚みが異なるからです。


一般的に形用はダイナミックな動きに合わせて音鳴りがするよう厚く、組手用は俊敏な動きを妨げないよう薄手の作りになっています。


なので、試合用の道着を作る人はその用途に合わせて道着を選ぶのですが、『形組手兼用』というものもあり、トップクラスの選手でもない限りは、わざわざ試合用に道着を誂(あつら)える人も少ないでしょうから、実際にはこのタイプを選ばれる方が殆どです。


特に協会の場合、形と組手両方に出場する選手も多く、午前が形、午後に組手と開催時間帯が分かれている事が多いとはいえ、昼に着替えるのも面倒ですし、年に数回の試合の為だけに道着を持っておくというのも、非常にコストパフォーマンスが悪いため、どちらでも使える兼用の道着を持たれる方が多いようです。


また、稽古用や初心者用と称した道着が売られているメーカーもありますが、これは形組手兼用の道着の一種であるものの、値段を抑える代わりに生地がやや薄めに作られていたり、生地の漂白度合いが抑えられていたりとリーズナブルな価格に抑えられているものです。

最初に買う道着の候補として、特に成長の早い子供の場合は候補になると思われます。


他にも夏の暑い時期には、汗だくになってしまって、着替えが欲しくなったり、洗濯サイクルが間に合わずに、予備の道着が欲しくなる方もいるでしょう。

子供の場合はリーズナブルな道着を買い替えれば・・・と思っても、大人の場合は自分で買う以上、少しくらい贅沢したい・・・なんて思うものですよね。ですが、世のお父さんたちの小遣い事情を考えると、そう何着も買えるものでも無いですし、一度買うと数年は優に使えるものですから、そういう意味では使い回しが利かせられるよう、試合にも稽古にも使え、形・組手を問わない汎用的な道着を持っておくのが、ベターだと考えます。



尚、道着の素材ですが、生地は主に綿かポリエステルで作られており、メーカーや用途により様々な比率で織られたものが用意されています。


綿100%の素材を帆布と言いますが、空手の道着としてはこれが一番ベーシックな素材です。標準的なものは11号という厚さのものですが、形用の場合には10号のより厚手の生地を使うものもあります。(数字が小さいほど厚手の生地になります)

但し、同じ号数の帆布でも織り方によって生地の硬さが異なるため、11号帆布でも初心者向けのの廉価なものと、それより上質なものでは生地の厚みの感じ方が異なります。


また、帆布は綿素材なので、性質上洗濯をすると縮みます。1回洗った程度でいきなりという事はありませんが、何度か洗っているうちに数センチ程度は縮みます。

縮み率は元の生地の織り方によって異なりますが、織り目が緩いほど良く縮み、硬く織ったものでも2~3%程度、緩い場合には4~5%程度縮むこともあります。

織物の特性上、縮むのは主に縦方向ですので、上着・ズボン共に裾が短くなっていきますが、一般的な目安としてはズボンならば折り目1つ分(4cm)くらい短くなると思えば良いと思います。

なので、帆布の道着を購入する際は、縮み分を考慮して採寸をする必要があります。


これに対して最近ではポリエステルの混紡やポリエステル100%の生地も出てきました。

特長は、綿帆布に比べて薄手で軽量化できること、そして洗濯後の乾燥が早い事です。

自身が汗っかきで、子供の分を含めて毎週3着の道着を洗う管理人一家にとっては、この乾燥が早いというポイントは意外に重要です。

他にも私の個人的な感想ですが、混紡の生地は基本的に中級者向け以上の商品に使われる為、薄手でも硬くシッカリと織りこまれる分、見た目にパリッとした印象があります。

逆に、ポリエステル100%の生地はどのメーカーでも、ほぼ組手専用の生地です。

昭和の目線で見ると、これが道着なのか?と疑いたくなる程薄く、軽さ重視でペラッペラなので、混紡よりも動き易く汗も乾きやすい反面、形を打ってもカサカサ音がするのが精一杯で、形用の道着と比べると見た目の迫力が違うのは言うまでもありません。

また、ポリ100%は熱に弱く、転倒や膝をついた時の摩擦熱でも変質してしまう事もあり、最近大会でも着用している子供が非常に増えましたが、扱いには注意が必要です。


あ、そうそう。ポリ100%の生地は、製品によっては薄すぎてパンツが透けてしまう事があり、別途インナーが必要というものもあるので、ご婦人は特にご注意を。


最期に管理人の失敗談を。

この年齢ですし、試合に熱を上げるつもりはなかったのですが、暑い日には涼しいかも・・・と思い、かつて組手用の薄手の道着を購入しました。

しかし中に何も着てなくても、道着が薄っぺらくても暑いもんは暑いです。確かに厚手の道着よりは熱が籠りにくいような気がしますが、酷暑の前ではほぼプラセボレベルです。むしろ形を打っても、基本で突いても全く音はせず、何だか稽古した実感も湧かないですし、結局家で見本のように吊るされて、一番出番のない道着となりました。

なので、皆さんも組手用道着を涼しさ目的で買う事はお勧めしません!

買うならば、組手の選手として着る覚悟で買わないと、お父さんの飲み会4回分くらいのお金が無駄になりますよ。




③ サイズ選び

ここまで決まったら最後はサイズです。

一番良いのは店舗に出向いて、直接採寸してもらいながら、フルオーダーで仕立ててもらうことですが、その分値段も張るので、誰にでもお勧めできるものではありません。


なので、大半の方は既成品のサイズの中から選択をすることになります。

その場合、身長に合わせた号数で購入するのが一般的ですが、メーカーによって同じ号数でも対象の身長が異なるケースもある他、身幅や丈に細かい差があるため、最初の1着目は店舗で採寸だけでもしてもらう事をお勧めします。

一度買ってしまえば、次回からは持っているサイズにプラスマイナス○センチという注文も可能になる為、体型のばらつきが少なく、数年で買い替えを迫られる子供はともかく、何年も同じ道着を着続ける大人の場合は、身長以外にも痩せた太ったという要素が加わる事からも、採寸を絶対にお勧めします。因みに管理人は、毎回店舗で測ってもらっています。


東海堂のサイズ表(サンプル)

尚、既成サイズで合わない場合は、追加料金で長さをカットすることが出来るので、身幅に合わせて大きめのサイズを購入し、長さは調整という事も可能です。

カット料はメーカーやカットする場所によって異なるものの、1カ所500円程度です。


因みにフルオーダー仕立てですが、メーカー毎の差はあれども、既製品の定価にプラス8000円前後から可能です。あちこち派手にカットする人は、結局カット代だけで数千円飛ぶこともあるので、それならば思い切って仕立てて貰ってもコスト的に割に合うかも知れません。そういう方は是非検討してみて下さい。


遠くてお店に行けないよ!という方は、道場の先生にお願いをすると、メーカーの営業の方が出張で来てくれる事があります。また、それなりの大きな大会になると、ショップの出張販売がありますので、そういう場で見てもらうのもいいでしょう。

その際には実際の生地もあれこれ比較して触ってみると違いが判ると思います。

但し気を付けるのは、洗う前の新品は柔らかい生地でも、洗ううちに硬くなるものがあります。特に形用・組手形兼用の道着にはその傾向が強く見られます。

例えポリエステル混紡の生地でも、多少なりとも縮む分だけ織り目が詰まって硬くなりますので、店頭での手触りはあくまで参考までに。



尚、袖や裾の長さについてですが、空手協会・全空連共に規定で定められています。

競技規定は変わる事もあるので、敢えてここでその詳細は書かないでおきますが、どちらかと言えば全空連の方が細かく規定がされています。

大雑把に言えば、袖・裾共に肘膝より長く、手首と踵が出る長さ程度の範囲なので、既製品なら常識の範囲でカットすればまず問題はありません。

決してストリートファイターに出てくるキャラクターや、かつてK-1で活躍した角田信明選手のようにカットしてはいけません。

カッコつけてもこれは失格です。

管理人は上着の袖は立った状態でほぼ手首の骨あたり、ズボンの裾はくるぶしから5センチ程度上が好みですが、こればかりは個人の好みですし、いきなりしっくり来るというよりは、着ているうちにこういう道着が好きという風に感じるものなので、取りあえず1着目という事であれば、動きの邪魔にならない範囲でまずは着てみるしかないと思います。


尚、長すぎた場合は内側に折りこんでも良いので、1巻きか2巻き程度(4~8センチ)ならば、必要に応じて折りこめば、子供の場合に成長毎に買い替える頻度を抑えられます。

(外側には絶対に折らない事。相手の指などが引っ掛かると怪我をする危険性があります)

折るとカッコ悪いという人はカットしますが、幼稚園から小学校低学年辺りでは、折ってきている子も結構いるので、恥ずかしがることは無いと思います。


因みに長さにも流行があり、古い方は短めを好む傾向があります。逆に若い方は長めのものを好む人も多く、特に上着の長さについては、近年ではエプロンかスカートなんじゃないかとさえ思う程長くしている有名選手も多く、それも好みと言えばそれまでですが、流石にこんなに長いのはどうなの?と個人的には首を傾げたくなります。


あと、特に触れませんでしたが、各メーカーズボンのハイウエストというものがあります。

管理人は古風なスタイルを好む上に、ハイウエストの追加料金が惜しくて試したことが無いですが、持っている方曰く『大変履きやすい』そうです。

確かに汗をかくと腰を結ぶ紐が湿ってしまい、稽古中トイレに行くにも脱ぐに脱げない状態になるので、本来の目的はソコではないかも知れませんが、私のように汗っかきといった方にはおススメかも知れません。




④ 注意事項

ここまで書いた内容で、取りあえず空手をするなら十分な道着は購入することが可能だと思います。ですが、最後に少しだけ注意すべきポイントを。


それは先ほども少し触れた、競技規定についてです。

詳細は出場する試合に応じて協会/全空連(・高体連・学連)それぞれのルールを参照して頂きたいですが、良くあるのは会派名の入ったワッペンやラベルに関する規定です。


協会の試合では、自身が協会所属であることを証明するために、ワッペンの着用を義務付けられますが、連盟系の試合では逆に会派を示す物の着用は不可という場合が多いです。

これが全国クラスの大会になると、更に所属団体名すら不可という場合もあるため、必要に応じてこれを隠すなどの対処が必要です。


JKFホームページより引用

隠すための布地は、所属する団体や県が統一して貸し出すなどの配慮がある事もあるため、余り購入時点で気にする必要は無いですが、出場時には覚えておいて下さい。

逆に隠すための生地があるならば、1着無地の道着を用意しておいて、出場する試合に応じて都度張り替えるというのも手です。


また、名前の刺繍についても文字色の指定があるケースがあるので、帯はともかく道着は無難に黒刺繍にしておくことをお勧めします。

名前と言えば、最近は道着に下の名前を入れる人も増えています。協会の道場よりも全空連系の道場で良く見かけます。ルール上違反でも無いですし、昔に比べて個性を重んじる時代ですので各自の好みに委ねて良いポイントだとは思いますが、もしも兄弟姉妹で道着を融通しあうつもりがあるならば、その点は考慮しておいた方が良いでしょう。

特にお姉ちゃんから弟へという場合は、ちょうど格好を付けたがる年頃の男子だと、○子とか○美と如何にも女性と分かる名前だと敬遠され、無駄に新しい道着を買わされる事になりかねないのでご注意を。


因みに管理人家では、姉の道着は永く着れるよう少し上質なものを、弟は捨てる前提でコスパ重視。名前は融通できるように苗字という風にして購入していました。

それでもこの3年間で子供たちの身長も伸び、結果6着購入する羽目になった為、妻には道着に掛けた総額は伏せています。自分の道着の値段は更にトップシークレットですけどね。


 

という事でダラダラと道着購入のポイントを書いてみましたが、如何でしたか?

ここまで書いておいて、結局は自分の好きなのが一番という身も蓋もない締め括りなのですが、私が良く相談を受ける箇所や自分が気を付けているポイントを並べてみたつもりですので、もしも皆さんが購入する時に、『読んで良かった!』と言って頂ければ幸いです。


さて、来週は指導員紹介の第4弾をお届け予定です。

4人目に選ばれるのは一体どの先生でしょうか?


それではまた来週もお楽しみに!


押忍

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